腹痛

緊急性の高い消化器疾患

腸閉塞

腸管が閉塞して激しい腹痛を起こします。早急な治療が必要な危険な状態ですから、すぐに医療機関を受診する必要があります。

急性虫垂炎

一般的には「盲腸」と呼ばれますが、実際には虫垂という細長い部分に炎症が起こっている状態です。抗生剤などの治療で改善できる場合もありますが、悪化している場合には緊急手術が必要になります。

急性胆のう炎

胆のうが炎症を起こしている状態です。主に胆石などが詰まって発症します。状態によっては手術が必要になります。

急性膵炎

膵臓が炎症を起こしている状態で、突然激しい腹痛や背中まで広がる痛みを生じます。アルコールの過剰摂取が関与して発症することがあります。

子宮外妊娠

通常は受精卵が子宮に着床しますが、子宮外で着床してしまうことがあります。狭い卵管に着床してしまうと受精卵が大きくなることで卵管が破裂し、激しい腹痛や大量出血を起こす可能性があります。

S状結腸軸捻転など

S状結腸がねじれて血流障害を起こしています。腸管の壊死を起こす可能性がありますので早急な治療が必要です。内視鏡によって正しい位置に戻すことも多いのですが、手術が必要になることもあります。また、腸軸捻転は盲腸や小腸などで起こることもあります。

早めに受診しないと重症化する可能性がある腹痛

急性胃炎

過剰なアルコール摂取やストレスなどによって炎症を起こしている状態です。繰り返すと潰瘍を生じることがありますので、早めに受診して適切な検査・治療を受けてください。

胃・十二指腸潰瘍

粘膜がえぐれるように深く傷付いている状態で、大量に出血する可能性があります。薬物療法で比較的治りやすいのですが、再発を繰り返すことが多く、進行すると粘膜に穴が開く穿孔を生じることもあり、その場合は緊急受診が必要です。消化器内科を受診してしっかり治しましょう。また、ピロリ菌感染陽性の場合には、除菌治療に成功することで再発を大幅に低減できます。

急性腸炎

感染などによって腸管に炎症が起こっている状態です。適切な検査で原因を確かめ、それに合わせた治療が必要です。重篤な症状を起こすことがありますので、早めに受診してください。

胆石症

胆のうに結石ができて、痛みを生じます。放置していると緊急受診が必要な急性胆のう炎となることがあります。

尿路結石

腰や背中の左右に激痛を生じます。腎臓でつくられた尿を膀胱まで運ぶ尿管に結石が詰まると激痛を生じます。尿管は途中に細くなっている部分があるため、そこに詰まると強い痛みを起こします。通過できるサイズであれば痛み止めや尿管の痙攣を抑える薬を内服し、水分をしっかりとって自然に排出されるのを待ちます。サイズが大きい場合には手術が必要になります。

胃がん・大腸がん

胃がんや大腸がんでも腹痛を起こすことがあり、できるだけ早く適切な治療を受ける必要があります。確定診断ができる胃カメラ検査や大腸カメラ検査を受けることが発見には不可欠です。

過敏性腸症候群

はっきりとした原因はわかっていませんが、機能的な問題によって症状を起こしていると考えられています。腸の機能は自律神経がコントロールしているため、緊張や不安などのストレスなどをきっかけに症状を起こすことがあります。激しい腹痛をともなう便秘や下痢の症状を起こすことが多く、下痢型、便秘型、便秘と下痢を繰り返す交代型、膨満感などを起こすその他のタイプに分けられます。

大腸憩室炎など

袋状の憩室ができて、そこで炎症を起こしている状態です。憩室の部分は腸壁が薄く、炎症による穿孔のリスクが高いため注意が必要です。