睡眠時無呼吸

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)について

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)について睡眠中に呼吸停止や低呼吸が何度も起こる状態のことです。呼吸停止は、睡眠中の1時間あたり10秒以上の呼吸停止が5回以上ある状態です。低呼吸は、睡眠中の1時間あたり呼吸が50%以下に低下している状態が10秒以上とされています。
睡眠中に繰り返し呼吸停止や低呼吸を起こしても、完全に目覚めることはほとんどありません。ただし、眠りが何度も阻害されて良質な睡眠をとれなくなり、十分な睡眠時間をとっても熟睡感がなく、慢性的な睡眠不足の状態になります。日中の集中力が大幅に低下し、抵抗できない激しい睡魔に突然襲われて一時的に意識が途切れることがあり、重大な事故につながってしまった例も報道されています。また、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの深刻な疾患の発症リスクも上昇します。

こんな症状があった場合には早めにご相談ください

など

眠気の評価(ESS: Epworth sleepiness scale)

日中に強い眠気を感じる場合には、ESSテストで眠気の評価を行います。

下記の8種類の状況で眠気を感じた場合には、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群の原因睡眠時無呼吸症候群の主な発症原因は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)と中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)の2種類に分けられます。
睡眠時無呼吸症候群の8割以上は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)です。これは、睡眠中に空気の通り道である気道が物理的に閉塞して、呼吸停止や無呼吸が起こっています。横になると重力の影響で上気道が狭くなりますが、肥満やあごが小さいなどがあると狭窄・閉塞を起こしやすくなります。上気道が狭窄するとひどいいびきとなり、閉塞するといびきだけでなく呼吸音も止まりますが激しいあえぎで呼吸が再開します。
中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)は、脳の呼吸中枢に異常が起こって、呼吸に関する指令が届かない状態です。気道が狭窄・閉塞することがないため、いびきの症状はありません。ほとんどの場合は、心不全などによる心機能低下、脳卒中などの脳疾患が関与して生じていますので、原因疾患の治療が必要になります。
また、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)と中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)の混合型も存在しますので、正確な鑑別が不可欠です。

睡眠時無呼吸症候群のリスク

睡眠時無呼吸症候群を放置していると、高血圧症、糖尿病といった生活習慣病、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、不整脈、脳卒中など、命に関わる深刻な疾患の発症・進行リスクが数倍に上昇することがわかっています。
また、日中に突然、抵抗できないほど激しい睡魔に襲われることで、事故を起こすリスクも上昇します。
気になる症状がありましたら、早めにご相談ください。

検査

問診で症状をくわしくうかがって、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、簡易型検査装置によるスクリーニング検査を行っています。当院から検査機器をお貸しして、ご自宅で睡眠時に検査していただく方法です。睡眠前に手指や鼻の下にセンサーを装着することで睡眠中の状態を記録できます。検査装置を返却いただいたら、データを解析して睡眠時の呼吸状態やいびきの有無などを確認します。
この検査だけでは判断できない場合には、身体に多くのセンサーを付けて眠り、睡眠と呼吸の質を調べるポリソムノグラフィー検査が必要になります。この検査は1晩入院して受けていただく必要がありますので、連携している入院可能な医療機関をご紹介して、スムーズに検査を受けていただけるようにしています。

治療

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)と診断されたら、肥満がある場合は減量し、生活習慣の改善を行います。またあごの形状などに問題がある場合には。専用の口腔内装置(マウスピース)を使った治療で効果が見込める場合もあります。口腔内装置は、連携している歯科医院で作成します。
症状が重く、すぐに改善する必要性が高い場合や、上記のような治療で十分な効果が得られない場合には、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP;Continuous Positive Airway Pressure)による治療が適しています。これは鼻に専用のマスクを装着して眠ることで、睡眠中に気道を押し広げて呼吸停止や低呼吸を防ぐ機器を使った治療法です。睡眠中に快適な呼吸が確保されるため、睡眠時無呼吸症候群の症状が解消できて熟睡感があり、快適な生活を取り戻すことができます。また、心筋梗塞や脳卒中をはじめとした深刻な疾患の発症・進行リスクも抑えられます。
なお、CPAPによる治療では、定期的な受診が必要です。

TOPへ